風はスプリンターの敵!?

こんにちは、走り人です。
突然ですが下のように1方向から風が吹いている状態で400mを走った場合を考えてみてください。
…さて、風が吹いていないときと比べてタイムが良くなるか、それとも悪くなるか分かりますか!?
正解は…
「タイムが悪くなる」でした。
つまり風の大きさが変わらなければ、向かい風の影響の方が追い風の影響よりも大きいんです。なぜでしょう?今回はその理由について考えてみます。

無風状態でも風からの影響は受けている

まずは無風状態で走ったときにどうなるか考えてみましょう。
というのも実は、空気からの影響は風が全く吹いていないときにも受けているんです。イメージはつきますか?
例えば、ジェットコースターに乗ると風が顔に当たるのを感じると思います。これは周りで風が吹いているからではなく、自分が動いているからです。もっと分かりやすい例で言うと走っている車から手を出したとき。進行方向とは逆向きに手が押されることを感じると思います。
この押し戻されるというのがポイントで風から受ける影響とはつまり風が自分の身体を押す力のことなんです。そしてこの力を空気抵抗といいます。
さて、空気抵抗はなぜ起きるのでしょうか?「身体と風がぶつかるからです」物にぶつかるとスピードが落ちますよね。基本的にはこれと同じ考え方でよくて、身体に対して小さな空気の分子がぶつかることでスピードの低下を招いているんです。

空気抵抗の大きさ

そして具体的に空気抵抗の大きさは
(空気抵抗)=(定数)×(身体と風がぶつかる速さ)×(身体と風がぶつかる速さ)
といった形で表すことができます。
一気に難しくなった…とか思わないでください。例をあげて考えてみましょう。
1m毎秒で歩いたときの風の力→1とすると
5m毎秒でジョギングしたとき→1×5×5=25
10m毎秒で全力で走ったとき→1×10×10=100
つまり速くなるほど風から受ける力がぐっと大きくなるんですね。

風が吹いているときの空気抵抗による影響の変化

さて、ようやく風が吹いていた際の影響についてです。無風状態の中を全力で走ったときの影響は100でした。2m毎秒で風が吹いていたときのことを考えてみましょう。

まず向かい風だった場合。

自分が進む方向から空気が押し寄せてくるから衝突速度は10+2=

12m毎秒になります。すると、空気抵抗の大きさは1×12×12=144
元が100でしたから44(144-100=44)だけ余分に風に押し戻されることになります。

逆に追い風だったとき。

反対に空気は私たちから逃げる方向に後退りしていきます。そこに猛スピードで我々がぶつかる訳です。衝突速度は10-2=8、空気抵抗の大きさは1×8×8=64となります。今度は36(100-64=36)だけ押し戻される力が軽減されました。

向かい風と追い風で比べるとどちらも2m毎秒の風が吹いていたにも関わらず向かい風の方が44-36=8だけ影響が大きくなっています。上の例では2mの風で計算しましたが風速を変えてもやはり向かい風の影響の方が大きくなることに変わりはありません。気になった人は計算してみましょう!

まとめ

今日のまとめ。風の大きさが同じだったとしても、追い風よりも向かい風の方が影響は大きい。追い風になる確率と向かい風になる確率は同じと考えられるから…風はスプリンターの敵と言えるのかもしれません。ではでは今日はこの辺りで!